2010年度 理事長所信表明
所 信
想 造
〜たくましく継続するまちをめざして〜
社団法人江津青年会議所
2010年度理事長 永井敏敬
柿本人麻呂が江津の地より妻の依羅娘子と別れて上京する時の歌は、「角の海岸には良い浦も潟も無いと人はいうが、海辺の荒磯には朝に夕に風や波に揺れ動く、青く美しい玉藻がある」と、このまちに住んでいるからこそ気づく美しい情景表現で始まります。続けて、依羅娘子を美しい玉藻に重ね合わせて想いを巡らせ、妻を残した家の方角を何度も何度も振り返りながら道を進み、別れを悲しむ気持ちを歌っています。当時の長旅は道中に命の危険が多く、もう二度と会えないことも十分に考えられる時代です。人麻呂が、妻とこの美しいまちから離れていくことになった悲しみは想像にかたくありません。そして、この強い想いは歌という「かたち」になったからこそ、時を越えて今に伝わり、人々の心に響き共感を得ているのです。 私たちの活動の原点にはふるさとを強く愛する気持ちがあります。先輩方は創立以来、その想いを地域社会での運動で積み重ねて「かたち」にされてきました。その蓄積によって、今の私たちの活動に拡がりが生まれています。しかし、この組織の歴史が長くなるにしたがって、私たちに向けられる地域の目は、期待とともに厳しさも増しているのは確かです。地域から更なる信頼を得るためには、私たちは客観的に自分たちの活動や組織について考えることが必要です。そして、私たちの行動が、次の世代の活動環境に大きな影響を与えることをメンバー一人一人が自覚できれば、私たちの行動は「考動」へとかわるはずです。
このまちの可能性を探る
島根県は昭和50年より34年間連続で高齢化率が全国一位となっていますが、2010年に行われる国勢調査において他県にその座を譲ると予想されています。これは島根県の状況が改善されたわけではなく、日本の中で最初に高齢化のピークを過ぎ、次の段階に進んだと考えられます。さらに、その島根県の都市部の中では江津市がもっとも過疎化が進んでいると言われています。この流れは地方だけでなく、都市部においても集合団地などの限定的な範囲を中心に進行しており、大きな問題となっています。だからこそ、江津の現状をマイナスととらえるのではなく、ここでの取組みが全国各地域のモデルとなり、ひいては日本の未来につながることだと考えるのです。まずは、このまちの問題を研究した上で可能性を探り、それを地域に伝えることによってふるさとを愛し、誇りを持つ人々を増やす活動が必要です。郷土愛は、市民が主体となって地域課題を解決する地域力の底上げになり、誇りは過疎化によって伝えることが困難になりつつある先人たちの確かな歴史、地域の伝統、文化を守ることになり、このまちをたくましく継続させることにつながると考えます。
頼もしい大人
現代の情報社会においては、求める求めないにかかわらず多くの情報が入ってきます。大人でさえその情報の正確性、善悪の判断が難しいことが多く、ましてや判断基準となる社会経験が少ない子供たちにとって、自己処理しきれない氾濫する情報は大きなストレスとなっています。そのストレスはいろいろな形の社会問題として噴出しています。私たち大人は、子供たちの判断基準となる安心してついていける頼もしい背中を見せなくてはなりません。併せて、このような社会をたくましく生き抜いていくための知恵をどうやって教えるのかを考える必要があります。しかし、テレビなどで繰り返される、大人が人の話の揚げ足をとるようなニュースや、インターネットの大量の情報に触れていると、素直に人の話を聞くことができなくなっている子供も多いのではないでしょうか。日本人が大切にしてきた、先人や他人に対しての感謝の心や思いやりの心を、まず大人がしっかりと持って子供たちに伝え、素直でお互いを尊重しあえる心を育む必要があります。
団結力が組織と人を強くする
江津青年会議所の強みは団結力だと考えます。この団結力は先輩方が言葉だけでなく、その覚悟ある行動で後輩に伝えたことによって出来上がってきたものです。会員減少の厳しい現状を乗り越えていくためにもこの団結力は必ず必要です。私たちは志を共有し、苦楽をともにすることによってこの力を強くしていかなくてはなりません。 また、経済状況が厳しい中、そのことを理由に入会を拒む会員候補者が増えています。しかし、厳しいからこそ、会社のリーダーたる人間の資質が問われており、その資質の向上無しには会社を継続させることも困難になっているといえます。青年会議所はメンバー同士が、ときに厳しく相手の足りないところを叱り、ときに励ましてお互いを高め合うことによって、リーダーに必要な資質を向上させることができる場所です。私たちはこの魅力を会員候補者へ伝えるすべを研究し、メンバー全員で会員拡大に努めなくてはなりません。そして、現役メンバーは江津青年会議所を卒業まで全うすることを最低ラインの共通認識として持つことが大切だと考えます。それによって、卒業までに自分はどうあるべきか、どうなりたいかを真剣に考えることとなり、青年会議所が提供する機会を積極的に活用しようとする姿勢が生まれるはずです。それは、卒業後も地域で活躍する人材の育成につながります。
公益社団法人へ
私たちは公益社団法人格の取得という選択をしました。それを実行するにあたり、体制づくりが急務となっていますが、制度の仕組みにとらわれすぎて江津青年会議所の存在意義や伝統を見失うことのないよう、足元を固めながら確実に移行を進める必要があります。
継続事業としての江津市音頭パレード
江の川祭におけるパレードは江津青年会議所の大切な継続事業です。ニューバージョンへの参加団体も年々増え、祭における重要性も増しています。メンバーの世代も大きく変わってきている中、今一度、この事業の原点と歴史を確認し、今後の取組みに活かしましょう。
35周年で「市民」「JAYCEE」「社団法人江津青年会議所」「社会」の4つの豊かさの追求を宣言しました。次の40周年においてどのような「かたち」となって結実したのかが問われます。今年はその最初の1年という大切な時です。英知と勇気と情熱を持って、粘り強く、想いをかたちにしていきましょう。
総務情報委員会+ 2010.01.01
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